2018年2月18日(日)9:00~12:00に、毎月恒例となっている市民の会イベントが、今月は屏風ケ浦で開催されました。
図1.海岸でのゴミ拾い 図2.遊歩道を通ってゴミ回収
市民の会とナルク銚子、その他、銚子市の内外から参加した皆さん、総勢27名の協力によって、希望者が数名集まる度に、市民の会のガイドが屏風ケ浦をご案内しました。
今回ガイドを希望された方は、全部で12名でした。
市民の会とナルク銚子、その他、銚子市の内外から参加した皆さん、総勢27名の協力によって、希望者が数名集まる度に、市民の会のガイドが屏風ケ浦をご案内しました。
今回ガイドを希望された方は、全部で12名でした。
2.ジオガイドでの河童伝説の活用提案
河童の話題はすでに一時のブームを過ぎたようですが、河童伝説は日本中どこにでもあり、とても親しみやすい話題と思います。例えば、利根川周辺のジオバスツアーの場合、港公園ルートを選び、親子河童ブロンズ像の近くで写真やビラを見せながら(場合によっては下車)、銚子河童伝説の概要と親子河童ブロンズ像の特徴、観賞ポイントなどを面白おかしく説明されてはいかがでしょうか? 少なくとも、乗客の退屈しのぎにはなると思います。この観点から以下に私見をまとめます。
(1)ジオ活動にも取り入れようとすると、大内氏ほか河童村関係者の了解・根回しが必要かと思いますが、広く深いジオガイドの充実は銚子発展のカギでもあり、一考の価値ありと思いました。
(2)母子河童ブロンズ像を含め、「銚子かっぱ村」の数々の河童関連芸術品を、資産家大内氏の個人的趣味コレクションとか私的財産自慢のための道具と見做し、全国河童愛好家(狭い顧客層)のためのモニュメントとして腐らせておくのは勿体ないです。根回しの面倒さ、ジオガイドの負担増という問題もありましょうが、前向きにご検討いただければ幸いです。
(3)たとえば、坂東太郎=利根川関連のジオガイド(余山貝塚、右岸の海食崖、香取の
海の海退、利根川東遷、銚子港の導流堤・防波堤建設等)の際、銚子河童伝説を挿
話として取り込んではどうでしょうか?
母子河童ブロンズ像や大内かっぱハウス周辺の河童石像などについて、面白おかし
く説明すれば、銚子の多彩な文化を印象付けることができるのではないでしょう
か?「銚子の河童伝説はチョウシよくて面白い」と!
3.大新河岸の母子河童伝説(参考情報)
銚子の母子河童伝説は『銚子の民話』(銚子市教育委員会編)にも母子河童が住んでいたことが記されていますが、銚子ポータルサイト「すきっちょくるっちょ」の『とっておき、銚子散歩Web版』にも、状況説明(源話提供者:大内綾子、採集・再話者:永澤謹吾)が面白く、解りやすく紹介されているので、原文のまま以下に引用させて頂きます。
『 昔、荒野[現在の銚子市中央町]に大新河岸と呼ばれる船着場があった。ここはイワシの〆かす<シメカス>や米などを高瀬舟に積んで江戸まで運ぶ河岸としてたいそう賑わった。廻船問屋の蔵が棟をつらねて、その中にモリゴンという大きな問屋があった。
ある夜のこと、モリゴンの雨戸をトントンとたたく音がした。番頭が起き出して戸を開けようとすると、「モリゴンさん、今日おたくに泊まった客人が、何も悪いことをしないのに、何でカラカサなんかでたたいたんだ。そんなこと止してくらっせ。」という声がした。そして、ピタピタぬかるみをを歩くような足音が遠ざかっていった。番頭は、急いで後を追いかけて行ったが、姿は見えず、やがて川岸でポチャンという何かが水に飛び込むような音がした。翌朝、泊まった客人に聞いてみると、昨日の昼、河岸で子河童をふざけてかまったことがわかった。
やがてそのうわさが河岸中に広まった。河岸に働く人達は、「河童は船を水から守ってくれるという。もういじめるのはよそう。」と戒めあうようになった。それからというもの、水に溺れたり、難破船が出ることがばったりやんだ。雨降りの晩などに、通りをピタピタ誰かが歩くような音が聞こえると、「大新河童が見回っている。」と河岸の人々はうわさしあったという。』
4.母子河童伝説の探訪で学んだこと
河童伝説は日本全国にあまた存在します。その多くは、子供のしつけや、河童社会に託
して、自己、人間社会、芸術などへの批判に活用されているように思います。このような
観点からこの度の河童伝説現場探訪から学んだ教訓を、思いつくまま、参考までに私見を
記します。
(1)村人たちが「今後河童の子供をいじめない」と宣言した後、銘盤【写真3】にある
通り、母子河童が水難事故から守ってくれていることは、河童=水神様と考えて、
謙虚に感謝すべきです。また、「子供をいじめると災難が起こるぞ」と河童から現
代社会へ向けて警告しているように思えます。
(2)他方、水難事故の減少(母子河童像建立のお陰)については、技術の進歩やインフ
ラ投資を実現させた先人たちの努力のお陰でもあることを決して忘れてはなりませ
ん。すなわち、利根川水運が衰退し、鉄道や道路交通等、物流・交通手段が発展し
近代化されたことに加え、逆水門の設置、銚子大橋やかもめ大橋の建設、銚子港関
連では導流堤や防波堤による利根川河口部の水難対策工事等の総合効果であろうと
考えています。
(3)利根川東遷後の利根川は坂東太郎とも呼ばれ、流域面積日本一、長さ第2位と誇り
うる規模になり、江戸との水運による交流が盛んになり、銚子が栄えました。その
繁栄の中で河童伝説が生まれました。だからこそ、銚子母子河童像を前にして、利
根川東遷の話や日本一の水揚げを誇る銚子漁港などについて観光客にアピールする
のは、大新河岸河童への恩返しでもありましょう。
(4)一方、利根川の水質は、利根川上流はもちろん、周辺の小河川からも生活排水、農
業用肥料、殺虫剤・除草剤等が流入して、問題を起こします。これらを如何にセー
ブするかが重要です。河川の水質というジオの恩恵は、「人間のみならず、水陸両
方の動植物が共存できる環境づくりが大切だよ」と、河童が現代社会に警鐘を鳴ら
しているものと解されます。
5.結び
以上、関係諸先輩方に対しては失礼な表現が多々あると思いますが、僭越ながら、
私見を述べさせて頂きました。
① 利根川を舞台とする銚子河童伝説と、多くの魅力ある大内河童コレクションを、
観光資源として活用できないか?
② そのためには、利根川関連のジオとも整合性のある解りやすい河童伝説ストー
リーを組み立てられないか?現状の個々の活動と、連動させる手立てはないか?
孔子は「過ちを改めざるをもって過ちとなす」と諭しています。大新河岸の河童が、
「今からでも遅くない!新たな活動を起こすべきだ」と、筆者に警告しているように
思いました。
「銚子ジオパーク推進市民の会」会員の一人として、河童伝説を正しく理解した上
で、坂東太郎・利根川のジオ的な価値を再認識し、より広く、楽しく、積極的に、
銚子の魅力をPRして行きたいと思います。
講師は、銚子市地域協働課ジオパーク推進室の山田雅仁氏で、『“銚子ジオパーク”ってなあに 』というテーマでお話して頂きました。
私は、「銚子ジオパーク推進市民の会」の一員でもあるため、特別な思いでの参加でした。
日頃から、「一人でも多くの方に、銚子ジオパークについての興味・関心を持って頂きたい」という願いがあったため、この企画を知った時は感無量でした。
そして、待ちに待った当日です。
「ジオパークって難しい、と思っているのでは?」とちょっと心配でしたが、皆さんの目の輝きと頷きに、不安は一掃されました。
「銚子の大地の成り立ち」と「自然とのかかわり」・「地質遺産」・「文化遺産」・「観光資源」・「産業」等々、ジオパークを切り口に、銚子の魅力を丸ごと見つめ捉えての内容を、映像を通して分かりやすく説明して下さったので、確実に皆さんの心に響いたことを実感しました。
2年半後に控えている再審査に対しての不安も覗かせ、自分たち市民とジオとの関わり方を問うような質問も出た程でした。
後日、一部の方からではありますが、次のようなご感想を寄せて頂きました。
〇 身近に貴重な財産があることが分かり、良かったと思います。
より多くの人が自覚して、次世代に繋げていく努力をしていくことが大切だと思います。
〇 映像を交えての説明でしたので、とても分かりやすく有意義な研修でした。
皆さん集中して聞き入っていました。
〇 銚子の町で、ジュラ紀・白亜紀の岩が見られるなんて凄いことだと思いました。
ゆっくり街歩きをしたいと思いました。
〇 映像を交えて丁寧に説明してくれて、分かりやすかったです。
講師は地元出身でないのに、ジオへの情熱を感じました。
〇 映像で地質図等を確認することができ、自分たちの町に関心をもつことができた。
ジオパークの存続に、市民の力が必要と分かって良かった。
〇 ジオパークと聞くと、先ず「地質?難しい。」が先に立ちます。一般向けのガイド・パンフレットを手にしてみても同様です。
「現在、子ども向けのパンフレットも作成中」とのことで、安心しました。
多くの人に関心をもってもらい、銚子の活性化に繋げていけるようにしたいです。
〇 講師の説明の順序立てがよく、大変分かりやすかったので、あのような内容の印刷物もあるとよいと思いました。
〇 説明が分かりやすかった。
市民でいながら銚子の実情を知らないことを実感しました。
ジオについて、もっと関心をもつべきですね。
〇 講師は想像していた以上に銚子の事を知っておられ、素晴らしいと思いました。
私も一市民として、恵まれた銚子について、遅ればせながら勉強します。
ジオパークの意味、銚子の地形についての歴史等が分かりました。
〇 色々な地層を見ることができる銚子、今まで漠然としていたジオの実態が少し見えてき
たのを感じた。
「大地の営み、大地の恵み、大地と人との関わり」を通して、地域の活性化に繋げる、
というジオパークの目標に、少しでもお役に立ちたいと思った。
市民が一丸となってジオの活動を支えて行けば、冷え込んでいる銚子も活性化するので
は?
微力ながら、他県の友人・知人に宣伝して行きたい。
以上から分かるように、今回の講話をお聞きして、ジオパークに興味・関心を持ち、動き出そうとしている方が何名かいます。
そして、この他の方も、「自分も何か・・・」と決意を新たにしたのではないかと思いました。
銚子の魅力を再発見・再認識することが、結果的には波及効果で、銚子の活性化、そして未来へと繋がっていくものと信じていますが、今回の講座で、それが再確認できました。
銚子の活性化に向けて、たくさんの方たちがそれぞれの分野、立場で活動しています。
そして、その状況が地方紙でも伝えられ、震災前の元気な銚子に近づいてきているようです。
自分の置かれた場で頑張っていらっしゃる市民の皆さんが、ジオパークを切り口として、大地の恵みに支えられた銚子をまるごと理解し、「銚子、大好き」になったら、もっと銚子が元気になるのではと思います。
観光客から銚子の事について尋ねられた時、自分はどこまで答えられるだろうか・・・。
分からない事だらけで勉強中ですが、おもてなしの心で「銚子の魅力」は伝えられると思います。
町内会や各種団体(組織)で、ぜひ「銚子ジオパーク推進協議会」の出前講座を要請なさることをお勧めします。
年齢層に関係なく、たくさんの市民の方が、「ジオパークの町、銚子」を誇れるようになるのも、夢ではなくなるかもしれません。
choshi_geopark1